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  電磁場解析

1.電磁場解析へのアプローチ
2015年1月3日更新 

1.0 電磁場解析へのアプローチ

 これから、電磁場解析へのアプローチにはじまり、いろいろな話題を提供しようと思っているのですが、ここのページに来られた方は何らかの理由で、電磁場解析に関心を示すか、またはこれから電磁場解析しようとする方だと思います。 既に電磁場解析をしている方が、ちょっと覗いてみるのもいいかもしれません。


1.1 何故、電磁場解析が必要か?

 一言に電磁場解析といっても、現状の解析法・ソフトウェアははすべて電磁気現象を統一的に取り扱える訳ではなく、物理現象に応じて電場解析、磁場解析、電磁波解析に分けるのが一般的です。 (実際には、もっと細かく分かれます。) 将来的には、すべて統一的に扱えるソフトウェアが作られるかもしれませんが、まだまだ、コンピュータパワーが必要な分野で、20年後でもできるかどうか怪しいところです。 しかし、一般的にすべての電磁気的現象が取り扱えなくても、とりわけ関心のある現象のみ詳しく・精度よく解析することでも、結構、役に立つちます。

 いま抱えている問題が、果たして電磁場現象すべてが統一的に扱えないと計算できない問題なのか、電場解析・磁場解析・電磁波解析のどれかに分けて計算できるのか、あるいはこれから述べるように、もっと限定して計算できるのかによって、解決できるかどうか決まります。 大雑把に言えば、時空的に次元の多さ・モデル形状の複雑さ・物性的な複雑さなどがお互いにトレードオフの対象となります。 ここで、物性的な複雑さとしては、誘電体なのか、導体なのか、磁性体なのか、半導体なのかetc...があり、また別の分類としては、非線形性・異方性等があります。
 
 例えば、身近な磁気的現象を真面目にモデル化すると、すぐに3次元磁場解析で異方性のあるヒステリシスを考慮し、磁性体・導体の動きと渦電流も加えた問題となり、非常に難しい解析となります。 さらに、同時に誘電体が絡む変位電流を考慮するなどとなると動磁場と動電場を連成計算する必要があり、私の知る限りにおいてはこれらすべてを同時にまともに取り扱える汎用ソフトウェアは現状存在しません。  (ここで、私が「3次元・汎用」と言っているのは、任意形状で計算できるものを指しており、モータ専用とか、トランス専用とか言うソフトウェア指しているものではありません。)
 
 ですから、電磁場解析に何を期待するのか、最初に明確にし、解決すべき問題への要求定義をはっきりさせなければなりません。 その後、求めるものと現状の解析法・ソフトウェアの限界との摺り合わせをすることになります。 もちろん、複数の解析法・ソフトウェアを利用すれば守備範囲は広くなります。 組み合わせによっては、かなり複雑な問題も解くことができるでしょう。 しかし、それには多くの経験と知識、多大なる労力と資力が必要です。 反面、問題となるべき現象と的確に捉え、モデルを限定するなどすれば、短時間に精度よく解が求まります。 どちらのアプローチをとるにせよ、職人肌的な要素がかなり色濃く残ってしまいます。 ここに、我々ソルバー開発メーカーの存在理由があるといっても過言でありません。 ^_^;

 皆さんは、今抱えている問題が、本当に解けるのか?(満足できる解が出るのか) まず知る必要があります。 場合によっては、電磁場解析より実測の方がいいでしょう。

 ずいぶん、否定的なことを書きましたが、あまりにも予備知識がなく、電磁場解析をやろう、またはやっている人が多いので、ここに書きました。 このコーナーは、そういう人たちのために、一助になればということでこれから構築していこうと思っています。


1.2 精度が要求される電磁場解析

 電場・磁場の値は他の解析と比べて直接計測し易い一面(元々電気信号だから・・)があるので、その解析精度は往々にして、厳しく要求されます。 また、電磁場解析の結果、直接得られる電場や磁場よりも、それを元に応力やトルクなど二次結果を求めることが多いので、一次計算結果である電場や磁場はかなり精度良く求めなくてはなりません。 

 例えば、磁場による応力は、磁場の二乗に比例し、トルクはその差で求まりますので、有効数字が極端に少なくなることがあります。 磁束密度の誤差が5パーセントでも、力やトルクの誤差は100パーセントなんてこともあります。  最近では、磁場測定値から、逆に物性値(渦電流等から電導率)を求めるという いわゆる逆解析(感度解析)などもあります。 このような場合も、わずかな磁場の変化から、物性値を求めようとするもので、解析の方もかなりの精度が要求されます。

 また、背景としては、現実の実験室モデルで、多くの電磁気的現象は解析的にも計算できますので、計算誤差は計算機の丸め誤差のみということもあります。 つまり、(物理現象の取り違えがないと考えて、)計算さえうまくやっておれば、合って当たり前の世界なのです。 このあたりが、他のCAEの分野とも若干、毛色の違うところでもあります。


1.3 解析すべき現象の把握

 従いまして、解析すべき現象を把握して、次に述べる磁場解析の分類にかけ、どこで妥協できるのか判断することが重要です。  解析目的にかなった、適切な選択こそが成功への秘訣です。 次章以降の、分類等をご参考になりご自身が抱えている問題解決の糸口として下さい。

参考



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